映画「アバター」のこと 2

アバターの凄いのは映像だけではない。 

映像自体は誰でも金をかければできるかもしれない。 

かけられればだが。 

 

凄いのは内容である。 

ある意味オーソドックスで分かりやすいストーリーを、難解な設定で見せているのだ。 

ディズニー映画にしてもいい内容である。 

暴力的シーンを除いてはだが。 

 

初めて観る映像だとしても、どこかで観たことはないだろうか。 

一番に浮かんだのは「マトリックス」である。 

随所に似た箇所が見つかる。 

 

アバターと実体のリンクは、マトリックスへの進入のようである。 

そのせいでいらぬ心配までさせられた。 

マトリックスでは、進入中にプラグを抜かれると死んでしまう。 

アバターにリンクしているときに、強制的にスイッチが切られたのだ。 

アバターは意識を失い崩れ落ちる。 

が、人間の方は別に死ぬことはなかった。 

これは裏をかかれたかとも思ったくらいである。 

 

AMP(アンプ)スーツはマトリックスのAPUのようだ。 

違うのは大佐がやられると喜が、ミフネがやられると残念に思う点くらいである。 

 

他の作品も多く連想させた。 

生命のネットワーク、死後もその中に留まるのはライフストリームを連想させる。 

FF7だが、オープニングやエンディングではFF8を思い起こさせた。 

 

アンオブタニウムは超伝導により強力な磁場を作り、岩石を浮遊させたりもする。 

別の見方をすると、「飛行石」ではないか。 

浮かんでいる岩は「天空の城 ラピュタ」である。 

大きな木という点もラピュタ的だ。 

 

パンドラの大気は地球人には適さない。 

毒性があるとか、二酸化炭素が多いなどらしいが、マスクがないと呼吸できないのである。 

これはもう「瘴気」で、マスクがなければ死んでしまうのは「風の谷のナウシカ」の「腐海」だろう。 

ガンシップの形は、(風の谷やペジテのガンシップとはまったく違うが)丸みがあり、どことなく宮崎駿のデザインする航空機的である。 

 

パンドラの動物たちは6脚である。 

類人猿は腕がまとまり、ひじまでが一体化している。 

これはナヴィを2脚2腕とするためだろう。 

まあ、かなりの拡大解釈をすれば「ねこバス」だって足が多い。 

 

動物(巨大生物)たちやAMPスーツの戦闘シーンはハリーハウゼンと同じである。 

技術的なものや見栄えは違っても、根底は同じだろう。 

それはキャメロン監督も否定しようがないと思う。 

 

パンドラの動植物が大きいのは、逆に見れば人間が小さくなったようなものである。 

小さくなると言えば「ミクロの決死圏」あたりか。 

キャメロンは今年公開されるミクロの決死圏の製作(監督は別)だったりする。 

 

こじつけっぽくなってきた。 

 

最も重要なのはファンタジーの王道、ひとりの戦士(勇者)が現れ、悪を倒し人々を救い、最後は姫と結ばれるということである。 

これは昔ばなしでも、おとぎ話でも同じ。 

それしかないというくらい、完璧な展開である。 

これは、ラストシーンにはない(目を開けて暗転した)が、あるのと同じだろう。 

逆にその暗転と音で「ライオンキング」を連想してしまったが。 

 

最後は逆エイリアンだ。(映画「エイリアン2」はキャメロン監督) 

エイリアンといえば、シガニー・ウィーバーである。 

どこが逆かというと、全部なのだ。 

ナヴィから見ると、彼女たちスカイピープルがエイリアンにあたる。 

今回は学者でナヴィを守ろうとし、戦うことはないから逆である。 

エイリアンでは最後まで生き残るのだが、アバターでは先に死んでしまう。 

エイリアン2のラストでパワーローダーでエイリアンと戦う。 

 

ロボットのようなフォークリフトで、AMPスーツのようなものだが、これも敵見方が逆である。 

なお、銃弾に倒れ寝かされ血のにじむ銃創をみて「ビッグベイビー」というあたりはエイリアンを身ごもったことを連想させる。 

まあ、自分にオマージュということはないから、パロディーだろう。 

 

ちなみに、エイリアンシリーズではリプリーだが、アバターの製作途中までシプリーという役名だった。 

軍隊の部分はエイリアン2と似たシーンも随所に見られる。 

大佐役のスティーヴン・ラングはエイリアン2のオーディションでは落とされたが、それを覚えていたキャメロンに起用されたという。 

 

こう書いてくると、悪いと言っているように感じられるかもしれないが、そうではない。 

似ても仕方ない部分で似ていると書いているつもりだ。 

それだけアバターがよくできているということである。 

 

分かりやすい展開、分かりやすいストーリー、それが一番重要だと思う。 

面白いと感じる要素である。 

難解な作品は一般にはうけない。 

そういうのは邦画に多いと思う。 

「どうだ、分からないだろう」という映画は観なくていい。 

客が呼べる作品を作るのがキャメロン監督なのである。 


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